投資スタイル

持株制度(持ち株会)のリスクを考える。奨励金などメリットもあるが分散投資とは対極にある制度

 こんにちは麒麟です。

会社の福利厚生の一環として、持ち株会に加入されている方も多いと思います。

 自社の従業員持株制度を利用すれば、通常100株からしか買えない株式も1000円から手軽に変えたり、購入金額に応じて奨励金が出たりするため、そのお得感から買付額を高めに設定している方も多いと思います。

 私も会社の持ち株会に加入し、自社株を月々一定額買い付けています。

 一見メリットしか無さそうな持ち株会ですが、覚えておくべきリスクがあるため紹介します。

持ち株会は自社株購入のハードルが下がる制度

 持ち株会とは、企業が福利厚生の一環で従業員持株制度を推進する組織を指します。

 会社側の持ち株会を組織する狙いとしては主に以下の通りです。

・個人投資家の株式保有率を高め、敵対的買収の対策となる

・一定の資本を維持できる

・社員の忠誠心向上に貢献する

 要は自社の社員に自社株を購入し株主になってもらい、敵対的買収の対策を取りつつ、新規上場の際は資本金として活用する狙いがあります。

 社員に対しては自社株購入に対して割安感を与えることで、愛社精神の醸成に繋げることが大きな狙いです。

 ここまでは、会社側のメリットで一投資家としてはあまりメリットが無い様に見えますが、投資家の立場としてのメリット・デメリットを次でご紹介します。

持ち株会のメリットとデメリット

 では持株制度を利用する側として、どんなメリットとデメリットがあるのでしょうか。

持ち株会のメリット

・奨励金が出る企業がある

・1000円から自社株の買付が可能

・給与天引きで無理なく積み立てが可能

奨励金が出る企業がある

 投資家の立場としての最大のメリットです。持株制度を利用し株式を購入すると、購入金額に対して5~20%の奨励金が出ることが一般的です。

 例えば奨励金を10%出す会社だと、月3万円自社株を買付けると、3万円×10%=3000円の奨励金が出され、計33000円分の自社株を毎月買付けることになります。

 現状の金融商品で10%も利回りがある商品はほとんど無いので、持ち株会ならではの大きなメリットと言えます。

 私もこの奨励金目的で自社株を買い付けています。

1000円から自社株の買付が可能

 通常日本株はミニ株等を利用しない限り単元株は100株であることが一般的です。

 例えば、高配当銘柄として魅力的な三菱商事なら100株買おうとすると20万円以上必要ですが、持株制度を利用すれば最低1000円で買付が可能です。

 株価の高い銘柄を1000円から買付が可能である点はメリットと言えます。

給与天引きで無理なく積み立てが可能

 持株制度を用いた自社株買付は、基本的には給与天引きのため、積立感覚で買付が可能です。

 最低買付金額は1000円のため、給与状況に合わせて無理なく株式買付ができる点も持株制度の魅力と言えます。

持ち株会のデメリット

・金融資産までも会社に依存してしまう

・売却の際に制限が掛かる場合がある

金融資産までも会社に依存してしまう

 最大のデメリットと言えます。サラリーマンは副業でもしていない限り、収入源は給与のみです。極端な話会社が万が一倒産した場合には、収入は0です。

 これだけでもリスクがあるのに、持株制度で株式を購入することは、資産までも会社の業績に依存することを意味します。

 会社と心中したいという人ではない限り、自社株の全力買いはリスクが伴うことを理解しておく必要があります。

 株式投資の基本は分散投資であり、持株制度による自社株買付はある意味分散投資とは逆行する動きになります。

売却の際に制限が掛かる場合がある

 持株制度により買付けた株式は、売却の際に制限が掛かる場合があります。

 持株制度により獲得した株式を売却するためには、持ち株会から提携する証券会社の口座に株式を移し、証券会社で売付けを行います。

 その際、会社の決算前や業績悪化に繋がる内部事情を知って株式を売却したい場合でも、インサイダー取引に抵触する可能性があり、売りたいタイミングで証券会社に株式を移せない、などの制限が掛かる場合があります。

まとめ

 持株制度のメリット・デメリットについてご説明しました。持ち株会についてまとめると以下の通りです。

持ち株会のメリット

奨励金による利回りが高い

1000円から自社株の買付が可能

給与天引きで無理なく積み立てが可能

持ち株会のデメリット

金融資産までも会社に依存してしまう

売却の際に制限が掛かる場合がある

 とは言え持株制度は自社株を割安で買付&積立ができる便利な制度です。自社の成長が今後も見込まれる場合は、有望株を割安で購入できる魅力的な制度であることに変わりはありません。

 そんな便利な制度であるからこそ、デメリットをしっかり理解した上で利用することが重要なんです。

 自社の期待値、資産状況に応じて利用するしないを判断されることをおすすめします。

株式への投資をメインとし、債券、不動産などへ分散投資するスタンス日本株は配当金を目的とした高配当&増配銘柄への投資を基本的なスタンスとしています。米国株はETFをメインに個別株を織り交ぜる形でポートフォリオを組んでいます。とにかく米国銘柄は株主還元の意識が日本とは比較にならない程高く、連続増配企業も数多くあります。...
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